そもそもインド株ってどういうものでしょうか?
高橋 インドの企業の株式です……という答えじゃダメですよね?
ダメです(笑)。
高橋 この本のなかでは、インド株を”超大国の成長市場”の株式という言葉を使って説明しています。「ブリックス(BRICs)」という言葉をご存じの方もいらっしゃるかと思います。ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を指す言葉で、『成功するインド株』でも触れているように、超大国、つまり国土が広く、資源か人口が多い国で、今後経済的に成長する可能性が高い国として注目を集めている国々のことです。
だから「超大国の成長市場」と言うんですね。
高橋 ええ。ブリックス4カ国のうち、ブラジルとロシアは資源が豊富な国です。インドと中国は人口が多い国です。このうち中国は、2001年末にWTOに加盟し、世界の工場としてはもちろん、世界最大の消費市場としても注目されています。
その結果として、中国株が注目されるようになったわけですね。
高橋 そうです。いっぽうインドは、中国と似たような経済発展のしくみを取り入れることでようやく経済成長のスタートラインに立ったところと言えます。
インドと言えば、IT大国というイメージがありますが……。
高橋 はい。ですが、IT関連のスキルは、誰でもすぐに身につけられるものではありませんよね。現実問題としてITだけでは10億人超の人口を抱えるインド全体を豊かにすることは難しいと言わざるをえないわけです。ですが、製造業の工場で組み立て作業をすることなら、訓練すれば誰でもできるようになります。
インドは、中国と同じように”世界の工場”になることをめざしていると?
高橋 その通りです。中国がやったように外国資本を導入し、世界の工場になろうとしているのです。10億人超の人口を抱える国ですから、インドの人々が豊かになれば、巨大な消費市場としての魅力も出てくるでしょう。
今、中国の話がでましたが、中国は社会主義国家ですよね。インドについてはあまり知られていないような気がしますが、インドはどんな国なんでしょうか?
高橋 インドは1947年の独立以降、資本主義的な性格と社会主義的な性格をあわせもった混合経済体制をとっています。社会主義的な国家ですが、なんと財閥が存在しているのです。
社会主義国なのに財閥が存在するのですか?
高橋 そうなんです。財閥は、当然収益を追求して事業を展開するわけです。しかも政府との結びつきも強く、インドの基幹産業を担っているんです。長くイギリス統治下にありましたから、コーポレートガバナンスの面でも優れています。
つまり、インドには魅力のある優れた個別企業が多いということですか?
高橋 はい。『成功するインド株』でも強調していますが、インドには、典型的な成長株がたくさんあるんです。成長株は、5年後、10年後の成長を評価して投資されるから、今の利益からすると株価が高くつく傾向があります。ですが、成長株投資をする方々にとっては非常に魅力のある市場だと言えるでしょう。
日本だと高度成長期の昭和30年代に戻って株式投資をするような感じですか?
高橋 そう言えるでしょう。ですから、インド株に投資をするときには、インドの人も外国の人も知っている代表的な企業の株に投資をして、長く持てば大きな利益を得ることができるんです。言ってみれば、高度成長期に東京電力や東京ガス、新日鐵やNTT、NTTドコモの株を買ったり、創業期にソニーやホンダの株を買ったり、出店後間もないセブンイレブンの株を買うようなものと言ってもいいでしょう。
株式投資に詳しくなくてもワクワクしてくるお話ですね(笑)。
>>次週へ続く
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