特集
「成功するインド株」
著者 高橋正樹氏 特別インタビュー
話題の小社新刊、敏腕ファンドマネジャーの注目のインド株攻略法を初公開した『成功するインド株』。 著者高橋正樹氏に世界中の投資家の視線を集める「インド株」について、お話を伺っています。今回はその第2回目。そもそも「インド経済の現状はどうなのか?」「インド株はどういうものなのか?その魅力は何か?」外国株投資初心者でも興味が持てるように基礎的なお話から伺っています。高橋さんのわかりやすい解説に今後もどうぞご期待下さい
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第2回 インド株って何 ?

そもそもインド株ってどういうものでしょうか?
高橋 インドの企業の株式です……という答えじゃダメですよね?
ダメです(笑)。
高橋 この本のなかでは、インド株を”超大国の成長市場”の株式という言葉を使って説明しています。「ブリックス(BRICs)」という言葉をご存じの方もいらっしゃるかと思います。ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を指す言葉で、『成功するインド株』でも触れているように、超大国、つまり国土が広く、資源か人口が多い国で、今後経済的に成長する可能性が高い国として注目を集めている国々のことです。
だから「超大国の成長市場」と言うんですね。
高橋 ええ。ブリックス4カ国のうち、ブラジルとロシアは資源が豊富な国です。インドと中国は人口が多い国です。このうち中国は、2001年末にWTOに加盟し、世界の工場としてはもちろん、世界最大の消費市場としても注目されています。
その結果として、中国株が注目されるようになったわけですね。
高橋 そうです。いっぽうインドは、中国と似たような経済発展のしくみを取り入れることでようやく経済成長のスタートラインに立ったところと言えます。
インドと言えば、IT大国というイメージがありますが……。
高橋 はい。ですが、IT関連のスキルは、誰でもすぐに身につけられるものではありませんよね。現実問題としてITだけでは10億人超の人口を抱えるインド全体を豊かにすることは難しいと言わざるをえないわけです。ですが、製造業の工場で組み立て作業をすることなら、訓練すれば誰でもできるようになります。
インドは、中国と同じように”世界の工場”になることをめざしていると?
高橋 その通りです。中国がやったように外国資本を導入し、世界の工場になろうとしているのです。10億人超の人口を抱える国ですから、インドの人々が豊かになれば、巨大な消費市場としての魅力も出てくるでしょう。
今、中国の話がでましたが、中国は社会主義国家ですよね。インドについてはあまり知られていないような気がしますが、インドはどんな国なんでしょうか?
高橋 インドは1947年の独立以降、資本主義的な性格と社会主義的な性格をあわせもった混合経済体制をとっています。社会主義的な国家ですが、なんと財閥が存在しているのです。
社会主義国なのに財閥が存在するのですか?
高橋 そうなんです。財閥は、当然収益を追求して事業を展開するわけです。しかも政府との結びつきも強く、インドの基幹産業を担っているんです。長くイギリス統治下にありましたから、コーポレートガバナンスの面でも優れています。
つまり、インドには魅力のある優れた個別企業が多いということですか?
高橋 はい。『成功するインド株』でも強調していますが、インドには、典型的な成長株がたくさんあるんです。成長株は、5年後、10年後の成長を評価して投資されるから、今の利益からすると株価が高くつく傾向があります。ですが、成長株投資をする方々にとっては非常に魅力のある市場だと言えるでしょう。
日本だと高度成長期の昭和30年代に戻って株式投資をするような感じですか?
高橋 そう言えるでしょう。ですから、インド株に投資をするときには、インドの人も外国の人も知っている代表的な企業の株に投資をして、長く持てば大きな利益を得ることができるんです。言ってみれば、高度成長期に東京電力や東京ガス、新日鐵やNTT、NTTドコモの株を買ったり、創業期にソニーやホンダの株を買ったり、出店後間もないセブンイレブンの株を買うようなものと言ってもいいでしょう。
株式投資に詳しくなくてもワクワクしてくるお話ですね(笑)。


>>次週へ続く

「成功するインド株著者 高橋正樹 氏 特別インタビュー」 記事一覧
  第1回 インド株を買うことはできるのですか ?
第2回 インド株って何 ?
  第3回 気になるインドとパキスタンの関係はどうですか ?
  第4回 超大国成長市場、インドと中国‐‐‐投資先としての魅力を教えて下さい。
  第5回 「カースト」がインドの経済発展を阻害しませんか ?
  第6回 インドの通貨制度について教えて下さい。
  第7回 インドの労働争議は経済発展に影響しませんか ? −その1−
  第8回 インドの労働争議は経済発展に影響しませんか ? −その2−
  第9回 インドの銀行株について教えて下さい。
  第10回 インド株ADR(米国預託証券)の投資のコツを教えて下さい。
  第11回 インド株と中国株はどちらがお買い得?---インドと中国の株価形成の違い −その1−
  第12回 インド株と中国株はどちらがお買い得?---インドと中国の株価形成の違い −その2−
  第13回 金融派生商品(デリバティブ)の使われ方
  第14回 『超大国の成長市場』の株価判断
  第15回 「イメージ・トライアングル」の使い方
  第16回 「銘柄の投資価値」と「市場の期待」をイメージする
  第17回 「超大国の成長市場」のテクニカル分析 −その1−
  第18回 「超大国の成長市場」のテクニカル分析 −その2−
  第19回 「超大国の成長市場」のテクニカル分析 −その3−
  第20回 「超大国の成長市場」のテクニカル分析 −その4−
著者近影 著者PROFILE
高橋正樹 たかはし・まさき
現職は「岡三証券・アジア情報館・シニアストラテジスト」。
元:アイザワ証券投資リサーチセンター・アジア担当ストラテジスト(本書執筆時)。
1963年生まれ。
日系投信会社、米系投資顧問会社を経て、2005年10月より現職。
ファンドマネージャー時代の全米運用パフォーマンスランキングは、2002〜2003年の2年間でアジア株部門が100社中35位、インド株部門24位(2003年のみでは12位)。この成績で注目を集め、日本では数少ないインド株投資経験者としても知られる。インド証券取引所の招きで精力的にインドの企業訪問をするなど、インドの最新情報にもくわしい。
国際公認投資アナリスト
日本証券アナリスト協会検定会員、検定テクニカルアナリスト


書影
書籍DATA
The Secret Of Success For The Indian Equity Investment
成功するインド株
出遅れない・失敗しない投資のための基礎知識
高橋 正樹 著
定価 1,575円
判型:四六判/並製
ページ数:192ページ
初版年月日:2005年08月23日
ISBN:4-7572-1141-4
 
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