前回は、市場や銘柄の投資価値の支持率とも言うべき、テクニカル指標について教えていただきました。
高橋 ええ、そうでしたね。
そのテクニカル指標には、株価のトレンド、つまり方向性を捉えるのに便利なものと、株価の振幅(モメンタム)を捉えるのに便利な指標があるんでしたよね。
高橋 はい、その通りです。今日もバックナンバーを読んで復習してきたんですか?
ご明察通りです。私だって一応は学習して、それなりに理解はしつつあるつもりなんですけど…。
高橋 それはいいことですよ。何だか元気がないように見えますが、買った株が値下がりでもしましたか?
 えっ、ナゼわかるんですか。高橋さん、鋭すぎる(驚)。実はここ数日というもの、値下がりするいっぽうで、売ろうにも値段がつかなくて困っているんです。
高橋 それは大変ですね。ちなみに、どんな株を買ったんです?
いや〜、それはちょっと…。株価操縦とか風説の流布とかになるとマズいので言わないことにしておきます。
高橋 別にアナタがココでその銘柄名を公表しても、そういうことにはあたらないとは思いますけど…。要するに株を買ったけど損をしているってことでしょう?
その通りですね。本当にもう、がっかり、お先真っ暗って感じです。
高橋 なるほど。下落相場、持ち株が値下がりした時の心構えをしっかりと身につける必要がありますね。
はい、わかりました。至らぬ私ですが、きちんと勉強して、儲けられる投資家になりたいと思っているんですよ。
高橋 それはいい心掛けですね。しっかり勉強してください。
はい。鋭意努力したいと思います。
高橋 ぜひ、そうしてください。
さてさて、冒頭から話がそれてしまいましたが、テクニカル指標には、トレンド系のテクニカル指標とモメンタム系のテクニカル指標があるんでしたね。
高橋 ええ、そうです。前にもお話したかと思いますが、株価のトレンドを捉えるテクニカル指標では、上昇トレンドのはじめと終わりを早い段階で見極めるのは至難の業です。いっぽう、モメンタムを捉える指標だと、売買のタイミングはつかみやすいものの、株価が勢いづく場面、つまり天井圏と底値圏で売買の判断がつきにくいという弱点があります。
それぞれ長所と短所があるということですね。
高橋 そうなんですよ。だから、トレンド系の指標とモメンタム系の指標を併用することで、それぞれの強みと弱みを補うようにするのがテクニカル指標を使う際のコツだと言えます。
トレンド系のテクニカル指標の代表選手は、移動平均線でしたね。モメンタム系の指標の代表選手は、どんなものなのですか?
高橋 モメンタム系の指標にもいろいろなものがあるんですが、初心者の方でもわかりやすいのは、RSIじゃないかと私は思っています。
 ああ、『社会的責任投資』ってヤツですね。
高橋 それは『SRI』だっちゅーのっ! って、どうしてそういう難しい言葉を知っているんですか?
もちろん、マネー誌に載っていたからですよ。SRIって、社会に貢献する企業に投資をするという考え方ですよね。いい話だなあと思って…。
高橋 まあ、それはそうですね。でも、今回お話するのは、SRIじゃなくてRSIです。
すいません。ところで、そのRSIというのは、どういうものですか?
高橋 株価の値動きから、その銘柄が買われ過ぎなのか、それとも売られ過ぎなのかを判断するテクニカル指標のひとつです。「これだ!」と思った銘柄があった場合に、すぐに投資するべきか、それとも少し待つほうがいいのかを判断するのに参考になる指標です。
ということは、保有している株をすぐに売るべきか、それとも少し待つほうがいいのかを判断する時にも使えるんですか?
高橋 ええ、そうです。保有銘柄を見直し入れ替える場合にも有効な情報が得られます。
へぇー、便利な指標ですね。
高橋 ちなみに、RSIというのはRelative Strength Indexの略なんです。一定期間の上げ幅の合計を同じ期間の上げ幅の合計と下げ幅の合計を足した数字で割り算して出し、100を掛けてパーセント表示します。
………。あの〜、難しすぎてよくわからないんですけど。
高橋 えっ、難しすぎますか。う〜ん、困ったなあ。これでもだいぶ説明を省いたつもりなのですが…。
ぶっちゃけ、結論だけ言っていただけると助かるんですよね。
高橋 う〜ん、そんな安直なことでいいんでしょうか?
ノープロブレム。モーマンタイ。マイペンライ。全然、OKです。
高橋 はぁ(ため息)、しかたないですね。じゃあ、結論から言いましょう。RSIが50%を中心として、上昇局面で上昇幅の割合が大きいほど100%に近づいていき、下落局面で下落幅の割合が大きいほど0%に近づきます。
ああ、そういうことなんですね。見る時のポイントなんていうものもあったりするんですか?
高橋 ええ、もちろん。一般的にはRSIが70%以上の場合は「買われ過ぎ」と判断し、30%以下の場合は「売られ過ぎ」と判断します。それと、アジア株などのエマージングマーケットの場合は、RSIを測定する期間として14日が用いられるケースが多いようです。
ということは、14日以外の場合もあるんですね?
高橋 はい。日本株の株価分析ツールなどでは、RSI9日を使っているケースもあるようです。それぞれの市場の特性にあった指標を使うのがいいと私は思いますよ。
わかりました。インド株や中国株の場合は、14日でいいんですか?
高橋 私の経験上、そう思います。
なるほど、だいぶわかってきました。先ほどのご説明から推察するに、RSIが70%以上だと買われすぎということは、その場面では、株は買わずに売ったほうがいいということですよね?
高橋 おっ、なかなか冴えてるじゃないですか。その通りですよ。
となると、株を買うならRSIが30%以下の時にしたほうがいいんですね? それで70%を越えたら売ると。
高橋 そういうことになりますね。
なんてわかりやすい指標なんでしょう! 感激モノですね。
高橋 いや〜、そう言っていただけると嬉しいですね。じゃ、話を先に進めますよ。H株指数のチャートを見てください。
おおっ、買うタイミングと売るタイミングがたくさんあるじゃないですか!
高橋 ええ、それもそうなんですけど、どちらかと言えばRSIの動きと株価の動きとを比べて見て欲しかったんですが…。
失礼しました。つい取り乱してしまいまして。
高橋 損をした直後ですから、アツくなるのもわかりますが、冷静にインタビューしてくださいよ。
はい、わかりました。それにしても、このチャートを見ると株価の動きとRSIの売買のタイミングとがみごとに一致していますね。(独り言)RSI、マジ、使えるぜ。
上司(新年初登場) こらっ、冷静になりなさい。感情に流されてはいかんよ。
あ、そうでした、すみません(汗)。今度は、センセックス指数を見てみましょう。
高橋 それ、私のセリフなんですけど…。まあ、いいか。一緒にみてみましょう。
こ、これだと、売りのシグナルばっかりで、全然買えないじゃないですか!
高橋 そうでしょう? ここがミソなんですよね。
「どうすりゃいいのよ、オレ…」って、ついつい、オダギリジョーになってしまいました。この場合は、どうすればいいんですか?
高橋 ここで先ほど説明した、トレンド系の指標とRSIとの組み合わせや、RSIからトレンドを把握する私なりのコツというか分析方法が登場するんです。
それを早く教えてください。
高橋 ええ、じゃ早速、と言いたいところですが、また来週にしましょう。次回までによく復習しておいてください。
 えっ、もう終わりなんですか...そ、そんな、殺生なぁ…。もうちょっと続けましょうよ。高橋さぁ〜ん。あ〜あ、相変わらず動きが早いなぁ。
>>次週へ続く
|