特集
水道橋博士
×唐沢俊一
特別対談「博士の異常な健康」鑑定!
第3回 胎盤エキス
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第3回 胎盤エキス
  第4回 ファスティング(断食)
  第5回 バイオラバー
  第6回 博士の愛した加圧式
書籍DATA
博士の異常な健康

博士の異常な健康
水道橋 博士 著
四六判・並製・306ページ
ISBN 4-7572-1248-8
定価 1,365円
 
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 稀代の健康マニア=水道橋博士(浅草キッド)が贈る、前代未聞の「異常」な健康読本がついに完成!

 博士がすべて自ら体験取材して書き下ろした本著は、目から鱗の一冊になること間違いありません!

 『健康本とは、死をゴールと見据えた「遺書」であり、生への執着を後世に残す「医書」である。そして、この本の目指すところは、完全なる実用書であり、有限の貴方の余命すらも、劇的に変えうる可能性もある、“平成の解体新書”を自負するものだ』。
 
博士 今週のテーマは胎盤エキスです。
唐沢 この辺りから少しだけ突っ込み甲斐があるような…(笑)。
博士 それはぜひ意見を聞かせていただきたいですね(笑)。そもそも、胎盤エキスが古くからアンチエイジング目的で使用されてきたのは事実ですよね?
唐沢 事実だと思います。この本の中でも博士さんが書かれていますが、それこそクレオパトラローマ皇帝の時代には使われていたようですね。ただ若返りの薬としては、胎盤以上に睾丸がポピュラーだった時代もあるんですよ。19世紀のフランスでの話なんですが、犬の睾丸をとってすりつぶして自分に注射した学者がいまして。
博士 睾丸そのものを…ですか!?
唐沢 そうです。そしたらなんと、自分の勃起不全が治ったらしいんですよ。セカールという人で、これでテストステロン(男性ホルモン)の発見につながったんだけど、今にして思えばあまりに乱暴(笑)。その出来事をきっかけにして睾丸療法が一気に広まり、一時期、羊や犬の睾丸のエキスを注射したり、あるいは直接体に埋め込んだりすることが大流行したんです。
博士 へぇ〜。しかし、考えた医学者は明らかに異常だけど、それを真似する人たちも正直どうかしていますよね(笑)。
唐沢 実は19世紀において、若返り法は一大ブームだったんですよ。例えば、その時代の様子を背景にして書かれた小説に、シャーロック・ホームズの『這う人』があります。これは若返りのためにコノハザルの血を体に注射しているうちに、本物のサル人間になってしまうっていう、数あるシャーロック・ホームズ作品の中で一番トンデモな話なんですが(笑)。
博士 アハハハ。飲尿療法なんかより、よっぽど振り切れている…。
唐沢 まぁ小説なので、さすがにその方法はフィクションだろうけど、実際にいろんな若返り法が実践されていたようですね。ちなみに睾丸療法は、のちに医学的に効果がないことが証明されたにもかかわらず、先のセカールによる成功例があったので、その後もかなり長い間信奉されていたとか。
博士 現代では、まさに19世紀における睾丸療法と同じように、胎盤エキス療法が一大ブームになっていますよね。唐沢さんは胎盤エキス注射をしたことは?
唐沢 ないですね。ただ、人間の胎盤そのものを食べたことはあります。
博士 動物ではなくて人間の?(笑)。それもすごい経験ですね。
唐沢 行きつけの中華料理屋さんで胎盤を食べさせてくれるところがあるんですよ。もちろん今はもうほとんど輸入禁止なんだけど、ずっと前に中国からかなり大量に仕入れて、それを冷凍してあるらしい。
博士 どうやって食べるんですか?
唐沢 そのままだと不味いので、サルノコシカケみたいにカチカチに乾燥したヤツを粉末にして、角煮なんかの上にかけて食べるんですけど、胃の中からグワ〜っと体が熱くなってくる。以前、友達の女優が妊娠したって言うので、それならお腹にいいものを喰わせてやるってそこに連れて行って、胎盤と蛇を煮込んだスープを飲ませたんです。そしたらその晩、初めて胎動があったってすごく感動していましたね。
博士 僕も胎盤エキスの点滴を初めて受けた時、体全体が海綿体になったような気がしましたよ。横山まさみちの『やる気まんまん』のオットセイになったみたいに(笑)。
唐沢 ホントにあの熱くなる感じはすごいですよね。だから、ほとんどの動物は後産で出た胎盤を親が食べて初めて、乳が出るじゃないですか。それくらい体内のホルモンの分泌を促す効果があるんでしょうね。
博士 この本では、人間の部位の中でもっとも栄養素が詰まっているという書き方をしていますけど、じゃあそれは……。
唐沢 正しいと思います。よく都市伝説で、産婦人科ではお産があった夜、看護婦さんたちが胎盤鍋をつついているとか言いますよね。
博士 へぇ〜(笑)。あと、もうひとつ確認したかったのが、胎盤と細胞増殖因子の関係なんですけど。
唐沢 う〜ん、確かに子供の細胞がどんどん増殖していく時の、その素になるところではあるんですけど、おそらくそれをコントロールする機能は胎児の中にあるんじゃないのかな? 現に、胎盤がそんなに効くんだったら胎児の方がもっと効くんじゃないかっていう、グロな考え方もありますし。
博士 話がいきなり鬼畜系になってきましたね(笑)。
唐沢 実際問題、金持ち相手に堕胎した子供を闇で売り買いっていう話は結構聞きますからね。
博士 それは現代でも?
唐沢 むしろ現代になってからの方が多いんじゃないですか。○○○モンなんかもそうだったけど、いわゆるセレブの人たちっていうのは、指向が最終的にはかならずアンチエイジングに行き着きますからね。
博士 秦の始皇帝以来、不老長寿を追い求めるのが人類の歴史ですからね。
唐沢 だから胎盤エキスは、現代においてイメージ的に一番効果がありそうで、かつ一般人でも手に入れられるギリギリの秘薬なんですよ。
博士 つまり、非合法スレスレの治療法だと。そこから一歩踏み込んで、胎児まで行っちゃうと完全アウトですもんね(笑)。
唐沢 そうですね。あと一歩で、非合法の最たるモノに辿り着いちゃう(笑)。だからおそらく、そういう手に入れにくいもの、普通の感覚だと食べにくいものを敢えて食べるということで、プラシーボによる部分も大きいんでしょうね。
博士 なるほど。その稀少性と非日常性が重要なんだ。
唐沢 大概、体にいい薬膳と言われるものは、普通の人間が食べない、気持ちの悪いゲテモノ系が多いじゃないですか。
博士 確かにそうです。あと僕は、セレブ感がすごく強調されている点も影響があると思います。実際に値段も高いですし。
唐沢 それはありますね。ある程度のお金を積まないと受けられないっていうことも、心理的にかなり影響してると思います。

つづく


「書評ほどオイシイ商売はない!?」 記事一覧
  第1回 発毛・育毛
  第2回 近視矯正手術
第3回 胎盤エキス
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著者PROFILE
著者近影
水道橋博士 すいどうばし・はかせ (浅草キッド
1962年8月18日岡山県生まれ。
身長161センチ、体重53キロ、バスト91センチ、ウエスト79センチ、ヒップ90センチ、頭57センチ、首44センチ、足25センチ。
 1986年にビートたけしに弟子入りを果たし、翌年、玉袋筋太郎と漫才コンビ「浅草キッド」を結成。以降、テレビ、ラジオ、舞台での活躍に加えて、文筆家としても高い評価を獲得している。
 キッド名義の著書『お笑い男の星座1・2』(文藝春秋)はエンターテイメント・ノンフィクションという新たなジャンルを打ち立て、大宅壮一ノンフィクション賞の候補にも挙がる。個人名義での著書に『水道橋博士の異常な愛情』(青心社)、『本業』(ロッキングオン)。自称ルポライター芸人として、日々ペンを走らせる45歳。
著者近影
唐沢俊一 からさわ・しゅんいち
1958年北海道札幌市生まれ。カルト物件評論家。大ベストセラー『トンデモ本』シリーズを生んだ「と学会」の中心メンバー。執筆領域は古書・漫画・薬から落語・映画まで広範囲に及ぶ。どの分野でも「瑣末・無用な」「消費されてしまい残りにくい」知識やモノをあえてクローズアップし、独特の切り口で多くの支持者を持っている。学術誌からあやしげなオカルト本にまで至るその膨大な執筆ペースは独自かつ脳天気な日本文化史観を構成しており、業界人にもファンが多い。パソコン通信の時代から現在にいたるまで、ネットの世界での活躍も知られている。アスペクトから刊行している人気シリーズ『社会派くんがゆく!』をはじめ、『ウラグラ!〜ベスト・オブ・裏モノの神様〜』、『裏モノ日記』が好評発売中。またWebマガジン 社会派くんがゆく[RETURNS]では村崎百郎氏と宇宙最強!? 切り捨て御免の社会時評を展開中。近著『とても変なまんが』(早川書房)、『カラサワ堂変書目録』(学陽書房)、『トンデモ一行知識の逆襲』(大和書房 )などがある。その精力的な活動の詳細は「唐沢俊一『一行知識』ホームページ」へ。