博士 今日はぜひ、唐沢さんにこの『博士の異常な健康』を鑑定していただきたくて対談をお願いさせていただきました。
唐沢 なるほど! 自ら名乗り出るのは珍しい(笑)。
博士 というのもですね、健康、医療を扱っているだけに、もしかしたら、この本には トンデモ本スレスレな部分もあるんじゃないかと思ってるんですよ。つまり、 と学会的な読み方をすれば、単なる プラシーボ効果で片付けられそうな内容も含んでいる、と。
唐沢 どんな健康法でも、かならずプラシーボの部分はありますからね。不思議なもんで、信じ込んじゃうとそれなりの効果は出ちゃうんですよ(笑)。
博士 いや、ホント、そうなんですよね。
唐沢 例えば昔から禅の世界には、頭頂部に「 軟酥(なんそ)」というバターみたいなものが乗っていると考えて、それが溶けて段々と体に染み込んでいくイメージをすれば、すべての病気が治るっていう治療法があるくらいですからね。
博士 へぇ! もし唐沢さんが、頭から「 トリビアの泉」が噴出するイメージをすれば頭が良くなるって言えば、今なら売れちゃうでしょうね(笑)。ではこのあたりで、『博士の異常な健康』について、1テーマずつお話を聞いていきたいんですが。まず最初が「 育毛」ですね。僕は唐沢さんの『 育毛通』という本にかなり影響を受けていて、『博士の異常な健康』の中でも引用しているんですが、唐沢さんは今まで、ご自身の周りで本当に髪の毛が生えてきた方って過去にいらっしゃいましたか?
唐沢 いないですね。
博士 実際に見比べていただきたいんですけど、僕は完全に生えてきたんですよ。以前はこの状態でしたから(髪の毛が生える前の頭頂部の写真を見せる)。
唐沢 ほぉ! 確かに生えてますね。
博士 これについてはありとあらゆる関係者の証言があるし、なにより、タレントは過去に出た番組の録画テープとかいくらでも証拠がありますから。
唐沢 実際の成功例、しかもそれが有名人ってことになると、過去にもほとんど例がないんじゃないですか。
博士 ないでしょうね。それこそ、ズラの人ならズラズラズラっと名前を挙げられるんですけど(笑)。自分で言うのもなんだけど、これだけ如実に効果が現れたのは芸能界で初めてだと思います。
唐沢 そうかもしれないですね。博士さんの場合はきっと 育毛サイクルが残っていたのが大きかったんでしょうね。
博士 そうですね。育毛サイクルが残っていない人に関しては、僕も無理だと思います。でも育毛サイクルさえ残っていれば、唐沢さんが『育毛通』の中で書かれていた基本的な治療法、"タバコを止める""皮脂をキレイにする""食事のバランスを考える"なんかを敢行すると、かなりの確率で髪の毛は甦るものなんでしょうか?
唐沢 う〜ん、 実はそれも断言はできないんですよ(笑)。
博士 ちょっと待ってくださいよ!(笑)。僕は唐沢説を根拠にしてるんですよ(笑)。
唐沢 たとえば作家の 五木寛之さんなんかは、"浮浪者にハゲはいないのは髪の毛を洗わないからだ"という説を唱えているんですね。
博士 確かに言われてみれば、浮浪者にはほとんどハゲがいない気がします。
唐沢 で、五木さんは自分でもそれを実践してるんですよ。洗わずに髪の毛が板みたいになるまでフケや垢が溜まれば絶対にハゲないはずだって。まあ、対談相手からは非常に嫌がられているようですけど(笑)。
博士 その話は聞いたことがあります。髪の毛洗うのが年4回らしいですからね。しかも妹さんが美容師の免許お持ちなのに(笑)。じゃあ、つまり、この本に書いていることとはまったく正反対の 育毛法もあるんですね。
唐沢 そうなんですよ。健康法で頭が痛いのはまさにそこ。まったく逆のことをやって両方ともに成功例がある場合が多々あるんです。他にも 伊丹十三さんがやってた 育毛法で、髪の毛を掴んでぐーっと上に引っ張って、皮膚の下にできた隙間に酸素を送るっていうのがあって(笑)。普通に考えたら明らかに髪の毛に悪そうなんだけど、でも実際、伊丹さんは死ぬまでハゲてなかったですからね。
博士 確かにそうですね(笑)。しかし、そんなのやったら、まず抜けるだろう(笑)。プロペシアとかロゲインについてはいかがですか? 一般には今の 育毛の主流であり、統計的にはプロペシアとロゲインの併用というのが一番効果的と言われてますよね。
唐沢 プロペシアやロゲインはきちんとした医学的な根拠があるものですから、試した人全員に効くとは限らないけど、理屈的には効いてまったく不思議はないです。
博士 ちなみに唐沢さんは、なにか 育毛法を実践されたことはあるんですか?
唐沢 徹夜をしない。僕が薄毛になりながらもまだハゲてないというのは、これを守ってるからだと思ってます。
博士 やっぱり徹夜はダメですか?
唐沢 絶対にダメですね。髪の毛に限らず、人体は寝てる間に細胞分裂が起きますから。睡眠不足はハゲの大きな原因だと言われてます。
博士 いわゆる成長ホルモンも、加圧トレーニングでもやらないかぎり、ほとんど寝ている間にしか出ないですしね。
唐沢 そうですね。ほとんどのホルモンは寝ている間に出るみたいです。あとホルモンと 髪の毛の関係で言えば、胸毛の濃い人はハゲやすいっていうのも確かですよね。ハゲの人と温泉に行くと、大抵の場合、体毛がものすごいじゃないですか。
博士 確かに! 大川興業のエガちゃん( 江頭2:50)なんかまさにそうですね。
唐沢 そういう人は、男性ホルモンが過剰なんでしょうね。だから逆に、女性ホルモンを増やすことでハゲになるのを止めようとする人もいるんですよ。博士さんも△△△っていうツルッパゲの噺家さんをご存知ですよね?
博士 ええ。
唐沢 あの人はハゲをキャラクターにして売れたにもかかわらず、内心ではそのことを気にしてて、ずっと女性ホルモンを打ち続けていたそうです。そしたら、突然オカマになってしまって(笑)。
博士 えっ! その性癖は聞いてましたが、そんな理由だったんですか!?(笑)
唐沢 ある日、限界量を超えたんでしょうね。体があまり丈夫じゃない人なんで、いつもかならず寄席の出入り口のところで横になっていたらしいんです。それで他の落語家さんが急いでいる時に△△△さんの上をポンと跨いだりすると、以前は「おい! やめろよ!」と男らしく言ってたのが、ある日を境に「やん、なにするのよ」になったっていう。
博士 そうなんですか!?
唐沢 その点、ナルシストの人はいいですよ。それこそプラシーボじゃないけども、ナルシズムの人って鏡に向かって「自分はキレイだキレイだ」って思い続けることで、女性ホルモンが出てくるのでほとんどハゲない。
博士 へぇ! もう、「へぇ〜ボタン」叩きっぱなしですよ。
唐沢 一時期、新宿2丁目のバーに通っていたことがあったんですけど、マスターを大別するとハゲ系とナルシスト系がいて。で、ハゲ系の人は最初から「どうせ私はブタみたいに醜いんだから」って言ってるからどんどんハゲていく。でも、どちらかと言うと無口で頻繁に鏡を見てるようなナルシスト系の人はほとんどハゲないんですよね。
博士 なるほど。確かに。
唐沢 もっとも、美の対象を自分の外に置きたいっていう種類のナルシズムはハゲます。 蜷川幸雄さんなんかがいい例ですね。あの人は昔は自分も役者で、自分の中にもナルシズムを持っていたんだけど、演出家に転じて美しい男の子を自分の周りに置こうとした途端に髪の毛が後退し始めましたから。
博士 それも面白い話だなぁ。しかし、これほど、金のかからぬハゲ治療法はないですよ。だったら、すぐ、鏡に向かって、「世界で俺が一番美しい!」と唱えることにハゲんだらいいんですね(笑)。では、僕の 育毛論に関しては、トンデモの要素はなさそうですね?
唐沢 そうですね。あくまで対象に入り込みすぎないバランス感覚があるので大丈夫だと思います。なにより 育毛に成功したご自身の実例があるのが大きいですよね。そこからさらに「万人に絶対効く」とか言い出すと、グッとトンデモ色が強くなってくるので注意してください(笑)。
つづく
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