特集
ベトナム株 中国株に続く新興国株の成功法則
著者戸松信博氏インタビュー[後編]

投資家の間でいま注目を集めるベトナム株の魅力から株の買い方、個別銘柄情報までを1冊にまとめた『ベトナム株 中国株に続く新興国株の成功法則』。その著者戸松信博氏にお話を伺う企画、後編をお届けします。投資先として魅力あふれるベトナムの個別企業のお話を伺っています。

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書籍DATA
ベトナム株

ベトナム株
中国株に続く新興国株の成功法則
戸松 信博 著
A5判・408ページ
ISBN 978-4-7572-1308-1
定価 1,890円
 
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 そこには10年前の中国株がある。中国株で成功した著者が、次に注目する新興国株・ベトナム株。綿密な現地取材を繰り返し、失敗しない、成功への鉄則を編み出した。WTO加盟、8%以上の経済成長率達成と経済成長を目前に控えた現在のベトナムには、10年前の中国株と同じ魅力がある。
 「買い方・選び方・儲け方」から「おすすめ銘柄」「主要54社の詳細データ」まで、オールインワン・タイプの決定版!

 将来“超”有望な石油採掘会社がある
Q さっそくですが、戸松さんが訪問されたベトナム企業で、「これはいいぞ!」と思われた企業のお話をお願いします。
戸松  そうでしたね。「ベトナム株 中国株に続く新興国株の成功法則」でも書きましたが、ベトナム株でも儲かる銘柄とそうでない銘柄があると思っています。
Q えっ、株式市場全体が成長するベトナム株でも…、ですか?
戸松  ええ、そうです。だから「良い会社」を買う必要があります。
Q 「良い会社」とはどういう会社のことをいうのでしょうか?
戸松  はい。ひとことで言うと、その会社に圧倒的なセールスポイントがあるかどうか、そして経営状態を見て、現在良好かどうかがポイントになります。詳しいことは、ぜひ、拙著をお読みいただければと思います。
Q でもこのインタビューを読んでくれている方にちょっとだけサービスしていただけるとうれしいのですが・・・。
戸松  それもそうですよねぇ。じゃあ、こうしましょう。私が考える「圧倒的なセールスポイント」のある会社を見分けるには、4つのポイントがあります。そのうちのひとつにあてはまる、「ベトナムを代表する国有企業の子会社であり、親会社のバックアップを受けている」会社のお話をしましょう。
Q ぜひ、お願いします。
戸松  中国でも同じことがいえますが、社会主義国家には、各分野に政府直轄で、経済成長の恩恵を受けている大企業(国有企業)が存在します。このような企業は、有利な条件で仕事を受注し、独占的な取引ができるため、成長性に関してはかなり有望です。
Q なるほど、確かにそうですよね。
戸松  ペトロベトナム・ドリリング(以下PVドリリングと表記します)という会社も、その1社です。同社は、ベトナムの石油の利権を握るベトナム石油ガス総公社傘下の子会社で、油田の探査や石油の採掘を代行しています。
Q えっ、代行ですか? それは、どういうことでしょう?
戸松  ベトナムの油田開発は、ベトナム石油ガス総公社と外資系石油会社が合弁会社を設立して行いますが、その際、合弁会社自身では探査や採掘を行わず、PVドリリングのような採掘専門の請負会社に外注するのが、一般的なのです。
Q なるほど。ということはベトナム石油ガス総公社の株を買ったほうが、投資効率が良さそうですね。
戸松  それはそうかもしれません。でも、ベトナム石油ガス総公社が株式会社になり、上場する見込みは、今のところかなり低い。
Q だから、次善策としてPVドリリングの株を買うということですか。
戸松  その通りです。
Q PVドリリングという会社、なんだか、ものすごく有望に思えてきました。
戸松  同社が投資先として有望だと判断する理由は、それだけではありません。ベトナムは産油国ですが、ほとんどが海底油田なので、陸上の油田に比べて油田開発にお金がかかってしまいます。
Q 海の底にある油田を開発すると聞くと、素人目にもそれだけで多くの困難が待っていそうな気がします。
戸松  しかも今までは、自社で石油を採掘する設備を持っていなかったのです。だから、採掘会社と言っても、実際には、海洋石油採掘設備を持っている会社への人材派遣などのサービスが、同社の主な事業でした。
Q それじゃ、あんまり儲からなさそうな気がしますが…。
戸松  まだその先がありますから、そうあわてずに。早合点は禁物ですよ(笑)。そこで同社は、1億米ドルをかけて、シンガポールの会社に自社の石油採掘設備の建造を依頼しました。その設備がそろそろ完成する予定で、早ければ07年第二四半期から稼働する見込みだそうです。
Q 本当ですか?
戸松  ええ、本当ですよ。PVドリリングの法務部のマネージャーのタンさんから直接うかがったお話ですから。石油採掘設備が完成し、稼働したら、利益率が劇的に変化するだろうとも言っていました。
Q すごくワクワクしてきましたよ。
戸松  同社には、ほかにも「これはイケル!」という情報があります。
Q そ、それは、何ですかっ?
戸松  まあまあ、そう興奮しないで…(笑)。PVドリリング社の最大の魅力といって良いかもしれません。実はスゴイところから技術供与を受けているようです。それは、同社が将来、大きく飛躍する可能性にもつながる話です。
Q そのスゴイところって、いったい、どこから技術供与を受けているのですか?
戸松  お話したいのは山々ですが、この続きは、拙著『ベトナム株 中国株に続く新興国株の成功法則』をお読みください(笑)。


 ベトナム電力業界の総元締めを訪問してきました。
Q さて、戸松さん、発展途上国が成長する課程では、電力やガス、道路などのインフラ整備が欠かせませんよね。
戸松  ええ、その通りです。中国株でも、電力やガス、道路などのインフラ関連銘柄が、大きく値上がりをしていますしね。
Q ということは、ベトナム株でも同じことが起こりえますよね?
戸松  そう思います。ですので、ベトナムの電力業界の総元締めであるベトナム電力総公社を訪問し、今回念入りに取材しました。
Q ベトナム電力総公社ですか! ものすごく成長しそうな感じがしますね。
戸松  同社は、ベトナム全土で発電から送電、電力販売の約80%を担う会社です。そのほか、電力関係のコンサルティングや電力大学と研究所の運営も行っています。
Q そういえば、前回、PVドリリングのお話をうかがった際、PVドリリングの親会社であるベトナム石油ガス総公社は、株式会社化したり、上場したりする可能性は低いだろうとおっしゃっていましたよね。ベトナム電力総公社も同じですか?
戸松  そうです。この会社自体が上場する可能性は低いと思います。
Q じゃあ、電力株は買えないということになってしまいますね。
戸松   まあまあ、あわてずに(笑)。今回電力総公社を訪問した理由は、ベトナムの電力業界全体の話を聞きたかったからなのです。
Q なるほど〜。ということはベトナムの電力業界は成長性が高いとお考えですね?
戸松  電力需要は、この10年間、年平均15%のペースで拡大しています。しかも、ここ数年は、年平均16%のペースになっています。
Q 拡大のスピードが加速していますね。
戸松  そうです。ハノイやホーチミンでも、週に1〜2度は停電があるくらいですからね。地方だとまだ電気が行き渡っていないところもあるようです。
Q それは、ますます期待できそうですね。 でも、電力総公社は、株式会社化してないし、ましてや株を買うことはできないんですよね…。
戸松  まあまあ、落ち着いてください(笑)。 取材をしてみたら、同公社傘下にはいくつもの国有企業があり、それをできるだけ民営化(株式会社化)させていく方針だと教えてくれました。電力総公社は、持ち株会社(ホールディング・カンパニー)となって、子会社を統括する立場になるわけです。
Q  ということは、すでに上場している子会社もありますか?
戸松  その通りです。私が訪問した2006年9月の段階では、発電所では、ホーチミン証券取引センターにファーライ火力発電所、ハノイ証券取引センターにタクバ水力発電所が、電力販売会社ではハノイ証券取引センターにカインホア電力が上場していました。
Q なるほど、そこで、どこが一番有望だとお考えですか?
戸松  それについては、「ベトナム株 中国株に続く新興国株の成功法則」をお読みください。
Q そうします。中国株でいえば、6年間で14倍になった華能国際発電のような株を買いたいものですね!
戸松  付け加えると、日本ではTEPCOが電線を使ったインターネット接続サービスを始めましたよね。ベトナムでも電力総公社傘下の会社が、同様のサービスを始めています。
Q へぇ〜、ベトナムでもインターネットが一般家庭にまで普及しはじめているんですね?
戸松  どうでしょう? 首都のハノイや経済の中心地であるホーチミンの高級ホテルでは、ブロードバンドが普通に使えました。しかし、電力総公社のトゥォンさんの話では、地方には固定電話回線すらない家もまだまだたくさんあるそうです。
Q そういう家でも電気が通じていれば、インターネットを使えるようになるというわけですね。
戸松  そういうことです。ただ、このインターネット接続サービスを担うEVNテレコムの株式会社化は、今のところ未定だそうです。ですが、株式会社化したら、ぜひIPO(新規公開)の際に、私の会社が運用するファンドでも買いたいなあと思っています。
Q そうそう、ご著書の「ベトナム株 中国株に続く新興国株の成功法則」は、銘柄データも充実していますよね。
戸松  ありがとうございます。「第2部 ベトナム株 銘柄編」のデータは、『ベトナム株情報』から提供を受け、一部、私が取材で入手したデータも加えて作成したものです。
Q ……すみません、『ベトナム株情報』って何ですか?
戸松  ベトナムニュースを提供する『VIET.JO ベトナムニュース』から、ベトナム株式関連のニュース専門サイトとして、2005年7月に独立、オープンしたサイトです。
Q 2005年7月ですか? 日本でベトナム株への関心が高まり始めた頃ですね。
戸松  ええ。ベトナム株に関する本格的な情報を日本語で提供する初のサイトです。
Q 日本語で読めるベトナム株情報のパイオニア的存在なのですね。
戸松  はい。私も、『ベトナム株情報』や『VIET.JO(ベトジョー)』を、毎日欠かさずチェックしています。とにかく情報が充実しているので、ベトナム株に興味を持たれた方は、ぜひ、ごらんになっていただきたいサイトですね。
Q そろそろ時間となりました。私も戸松さんのご著書を読みつつ、この2つのサイトをチェックして、ベトナム株を勉強したいと思います。お忙しいなか、貴重な話を教えていただきありがとうございます。
戸松  お役に立ちましたでしょうか? こちらこそありがとうございます。


撮影/和田佳久

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PROFILE
著者近影
戸松信博(とまつ・のぶひろ) グローバルリンクアドバイザーズ(株)代表取締役
1973年東京都生まれ。立教大学社会学部卒。95年より中国株に注目し、個人投資家向けに中国株の情報をインターネットで発信。現在、購読者数は3万人を超える。02年、中国株ブームを巻き起こした『10万円から本気で増やす中国株』を出版。05年、在籍していた投資顧問会社を買収(MBO)し、社名をグローバルリンクアドバイザーズ(株)に変更。06年にはグローバルリンクインベストメント(株)を設立、ベトナム株としては日本初のノーロード(手数料無料)ファンドを立ち上げる。

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