★ なぜいま、ベトナム株なのか?
Q 今回、「ベトナム株 中国株に続く新興国株の成功法則」を上梓されましたが、戸松さんというと「 中国株」というイメージが強いですが…。
戸松 確かにそうかもしれないですね。
Q なんと言っても、フツーのサラリーマンが中国株に投資をして、億万長者になったストーリーは、インパクトが大きいですよ。それに、戸松さんが発行されている「 中国株通信」の情報は、中国株投資家の間では、非常に評価が高いと伺っています。
戸松 そうですか。それはよかった。
Q その戸松さんが、なぜ、ベトナム株の本をお書きになられたのでしょうか?
戸松 私が、前著(「 10万円から本気で増やす中国株」)を出したのは、かれこれ4年前です。その間、中国株の代表的な株価指数であるH株指数は、約5倍になりました。
Q H株企業の株を買っていれば、資産が平均で5倍に増えたのですね。
戸松 ええ、そうです。中国株は、今後も上昇し続けるとは思います。でも、私が中国株投資を始めた10年前のように、中国株であれば、どんな銘柄でも株価が上昇する時期は過ぎてしまったのではないかと思います。
Q これからは先進国の株のように、いい企業を見つけて買わないと、大きな株価上昇は望めないということですか?
戸松 そういうことです。中国株は、今でも魅力的です。でも、私にとっては、10年前のように、心から「買いたい」と思える国ではなくなってしまいました。それで、どこかに、10年前の中国のような国はないかと思って調べていました。
Q それがベトナムだったということでしょうか?
戸松 GDP(国内総生産)の伸び率や国民一人あたりGDPの金額、不動産価格、エンゲル係数…と言ったものを調べてみると、10年前の中国に酷似していることに気づきました。数字を見ているだけで、ワクワクしてきましたよ。「これからはベトナムだ!」って。
Q なるほど…、そういう指標にも注目されているのですね。
戸松 ええ、本気で増やそうとしている投資家ですから(笑)。しかも、中国株は2001年末に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟してから、グーンと大きく上昇しています。ベトナムもちょうど去年(2006)の11月にWTOへの正式加盟が決定しました。
Q ということは、これから株価が上がる可能性が大きいとお考えですか?
戸松 と私は考えています。実は、私自身、昨秋、ベトナム株を買いましたが、半年で5倍になりました。
Q えっ、たったの半年で5倍ですか! というより、もうベトナム株をお買いになったのですか?
戸松 ベトナムについて調べているうちに、もう、居ても立ってもいられなくなって、「とにかくベトナムに行こう!」と(笑)。それで、知り合いのツテをたどったら、トントン拍子で、証券取引所から金融機関、現地の上場企業まで訪問することができました。
Q 企業訪問までされたのですか?
戸松 ええ、そうです。ただ1回では訪問しきれないので、何度もベトナムに足を運んでみました。全部で50社以上の企業や機関を訪問したかなあ…。
Q ということは、この本には、戸松さんが「足で稼いだ情報」が掲載されているということですね。
戸松 そういうことです。取材をし、私なりの視点で分析を加えた情報をふんだんに盛り込んだつもりです。そうそう、新興国の株式市場に投資をするコツや実際にベトナムの証券会社に口座を開く方法、売買の仕方とそのアドバイスも載せましたよ。
Q この本を読めば、ベトナム株投資を始められるということですね。
戸松 ええ、そうです。私自身、難解な書籍が嫌いで、読んでいて疲れる本は3分ぐらいで読むのをやめてしまいます。そこで株をやったことのない方にも、「なぜ今、ベトナム株なのか?」ということから、実際の株の買い方、銘柄の選び方までを、優しく体系的にご理解いただける本を目指しました。
Q そういえば、戸松さんが企業訪問をしたうえで、「これはいい」と思われた企業に投資し、しかも運用の指示もされるファンドも作られたとか。
戸松 はい。それについてもきちんと紹介しています。また個別株の売買にご興味がある方はもちろん、各社から販売されているベトナム株ファンドに興味がある方にも参考になるようにと、14社にわたる主要企業の詳細な訪問レポートや、現地長期取材ならではの情報まで、盛りだくさんの内容を一冊に盛り込みました。
★ 情報開示姿勢は未熟だが、ベトナム企業のポテンシャルは高い!
Q 戸松さんは、中国や香港の企業も訪問されていらっしゃいますよね?
戸松 そうですね。訪問した企業は、有料メルマガ「中国株通信」で、その時の様子を紹介しています。
Q 中国とベトナムの企業は違いますか?
戸松 違いますねぇ。
Q どこが一番違いますか?
戸松 ディスクロージャー(情報開示)の姿勢です。
Q どういうことですか?
戸松 今から5年前の中国では、企業がディスクロージャーにあまり積極的ではなかったんです。もちろん、金融都市である香港の企業や、中国の国営企業でも香港市場に上場しているところなら、そんなことはありません。でも、その頃は、中国本土の市場にしか上場していない企業だと「企業訪問をしたい」とお願いしても、「企業訪問?とんでもない!」という感じでしたよ。
Q ベトナムの企業はいかがですか?
戸松 ベトナムの企業のほうが、フレンドリーですね。もちろん、証券市場自体ができてから6年しか経っていないこともあるので、ディスクロージャー自体は、未熟だなとは思います。でも、ポテンシャルはあると考えています。単に慣れていないだけなのでしょう。数年先には、情報開示の姿勢はよくなると思いますよ。
Q 実際に訪問してみて、「この会社はディスクロージャーがいい」と思われたところはありましたか?
戸松 本でも紹介しましたが、 リー冷蔵電気工業はしっかりしていました。アニュアルレポート(年次報告書)を過去の分までそろえてくれただけでなく、企業紹介資料をCD-ROMにまとめて用意しておいてくれましたし…。上場してから何年も経っているからでしょう。そういういい例があるので、他の企業もそうなっていくことを期待しています。
Q いいお手本がありますね。
戸松 それと、ベトナムの企業は、社長が出てきて対応してくださるところが、結構あります。
Q 社長自ら、その企業の事業や将来について話してくれるとは心強いですね。
戸松 ええ、そうですね。いままでの経験では、これは中国だとあまりない話です。財務担当者が対応することが多いですね。
Q ベトナムも中国と同じように社会主義国家でしたね。
戸松 そうです。でも、中国の社会主義とは、だいぶ違うように感じます。そのあたりの感想と分析は、ぜひ拙著をお読みいただければと思います。少しだけお話すると、政治がしっかりしているけれど、自由度もあるなあと。若い人たちと話をしてみましたが、政府の姿勢を批判しながらも、「自分の国を本当に愛している」感じがひしひし伝わってきました。
Q なるほど、それは興味深いお話です。中国との違いが際立っていますね。
戸松 同世代のベトナムの人の話を聞いていて、「すごいなあ」と思ったのは、今から20年前にドイモイ(刷新)政策を導入する前は、食料が足りなくて、いつも家族や友人たちと「お腹がすいたなあ」と言い合っていたそうです。ところが今のベトナムは、タイに続く米の輸出国になりました。ほかにも、輸出世界一になっている農産物があります。
Q 土地が豊かなのですか?
戸松 それもありますが、ドイモイ政策で、かつてのソ連型の重厚長大系の工業化路線をやめ、ベトナムの国や国民性に合った産業政策の転換を行ってきたことが大きいのだと思います。
Q 柔軟性が高い社会主義だと考えれば、よろしいでしょうか。
戸松 そうですね。
Q リー冷蔵電気工業以外にも、「これはいいぞ」と感じられた企業はありましたか?
戸松 それはもう! でも、今日は、これで時間切れなので、そのお話は、また次回ということで…。
Q では次回を楽しみにしています。
つづく
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