初歩的な質問ですが、日本の投資家がインド株を買うことはできるのですか?
高橋 2005年8月現在、日本ではインド株の投資信託や『eワラント』のような金融派生商品を買うことができます。アメリカのニューヨーク証券取引所には、インド企業の株10銘柄がADR(米国預託証券)として上場しています。このADRであれば、アメリカ株を扱っている証券会社で取引できます。ですが、日本に限らず世界的に見ても、インド人投資家を除くと、個人投資家がインドの証券取引所でインドの個別株に投資することはできないのが現状です。
外国人の個人投資家は、インドの個別銘柄には投資できないのでしょうか
高橋 現状ではそうです。ただし、インド株を巡る状況は、2004年から大きく変わりつつあります。ひとつは国際情勢の変化、もうひとつは外資導入策です。その外資導入策の延長線上にあるのが、外国人の個人投資家への株式市場の開放だと言えます。たとえば昨年10月1日には、キャピタルゲイン課税の緩和が行われています。
すみません、キャピタルゲイン課税について、簡単に説明していただけますか?
高橋 株式の売買などで利益が出た場合、課税されるんです。たとえば株式を15万円で買って20万円で売れば5万円の利益が得られますよね。この5万円に税金が課されます。話をインド株に戻しますと、以前はインドの個別銘柄を売却して利益が出た場合、保有期間が1年未満だと30%、1年超だと10%、インド国内でキャピタルゲイン課税がなされていました。それが2004年10月1日からは、1年未満で売却して利益が出た場合のみ10%課税されることになったんです。
ちなみに日本だとそのキャピタルゲイン課税は何%なのでしょうか?
高橋 日本では20%です。ただし、2003年1月1日から2007年12月31日までの間は税率が優遇されているので、キャピタルゲイン課税は10%になります。2008年1月1日からは20%です。
ということは、もし今インド株に投資できると仮定して保有期間1年未満で売却した場合、インド国内で10%、日本で10%のキャピタルゲイン課税がなされるということですか?
高橋 そういうことです。
ですが、1年以上保有してから売却して利益が出た場合には、インド国内でのキャピタルゲイン課税はないと聞きましたが、どうなんでしょうか?
高橋 その通りです。私はインド国内でのキャピタルゲイン課税がすべて撤廃されれば、日本でもインド株を取り扱う証券会社が出てくると考えています。もう一つの可能性としては、金融派生商品でインドの個別株に投資できるようになる可能性もあります。ネット専業証券のなかには、今年の2月からインドの株価指数を対象とした金融派生商品を扱っているところもあります。
その金融派生商品で個別銘柄を対象としたものが出てくるということですか?
高橋 ええ。ヘッジファンドなどは、数年前からインド株に投資をするときには金融派生商品を使っているんです。ですから、物理的にはできるわけです。
可能性はあるということですね。
高橋 そうです。金融派生商品であれば保有期間に関係なく非課税になるというメリットもあります。今のところ日本国内ではインド株の株式投資信託が人気を集めていますが、個人投資家のニーズが高まれば、遠からず個別銘柄を対象にした金融派生商品は出てくると思われます。もちろん、インドの証券取引所に上場する個別銘柄に投資できるようになる可能性もあります。
いずれにせよ、そう遠からず、何らかのかたちでインドの個別銘柄に投資できるようになる可能性はありそうですね。それまでに、『成功するインド株』を読んで個別銘柄について勉強しておく必要があると。
高橋 まあ、そういうことでしょうか(笑)。
>>次週へ続く
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