From Editors
… from editors
このコーナーは今後、編集者たちが日々の出来事、編集秘話、
今日の神保町、私の書棚、秘密のコレクションなど…
つれづれなるまま、思いつくままに綴ります。
時には勢い余って、他社の本のことも語るコーナーとして、
年内にopenする予定です。
どうぞ、ちょっぴりご期待下さい。
それまでは、アスペクトONLINE全面リニューアル記念として、
このコーナーを飾るのは、アスペクトの代表取締役社長から、
いわゆるひとつの「社長ご挨拶」でございます。
どうぞ、ご一読のほどを!
「どうしてアスペクトなのか」と、社名の由来について尋ねられることがある。
私自身、何度かこの問いを発して、過去の書類をひっくり返したり、関係者に尋ねてみたりしたが、いまだに、はっきりしたところはわからない。

「アスペクト」を辞書で調べると、「姿。局面。様相」といった、なんとなくわかったつもりになる言葉が並び、インターネットの検索エンジンでは、会社名以外に「アスペクト指向プログラミング」や「アスペクト比」といったIT関連あるいは技術用語がヒットする。

あれこれ想像をめぐらせていると、世の中には親切な人がいて、「アスペクトには、『あいまいなものをはっきり、くっきりとさせる』という意味があるんだよ」ということを教えていただいた。

出典はわからないし、どこを調べても、その意味を見つけられないのだが、妙に合点のいく説明である。しばらくはこの言葉を引用させてもらうつもりでいる。

ところで、私がモノの考え方や経営の基本など、さまざまな薫陶を受けた、CSK創業者で、SEGAのオーナーでもあった故大川功氏は稀代の名経営者であった。

氏は晩年においても学ぶことに非常に謙虚であり、かつ貪欲であった。そして常人では、計り知れない集中力と決断力を持ち、常に新しいことに挑戦していく姿勢を失わなかった。

その氏が常々「ものごとは右や左、白か黒といった二元論で、簡単に割り切れるものではない。白に近いグレーもあれば、限りなく黒に近いグレーもある」また、「経営には、清濁併せ呑むことも必要だ」と語っていた。

世の中のあいまいなものをくっきり、はっきりさせながら、一方では、あいまいなものをあいまいなまま受け入れる。こんな経営を私は実現させたい。マイケル=ポランニーは「私たちは言葉にできるより、多くのことを知ることができる」といっている。

多くのことを言葉にするには、限界があるかもしれないが、出版を通じて、モノの考え方や生き方、哲学などを次の世代にしっかりと残していくことができれば、そこにこそアスペクトの存在意義がある。そして、謙虚に新しい出版にチャレンジしていきたいと考える。
2005年2月 株式会社アスペクト
代表取締役社長 高比良公成