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瑠璃宮殿の創造主 ノーマッド号の冒険3
天海沙姫 著
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母港でくつろぐファルコンのもとへ、首を奪われたノーマッド号の副艦長リースの身体が届けられた。「首が欲しくば探し出せ」宿敵シドニアからの挑戦に、罠と知りつつファルコンたちはリースの行方を探し始める。一方、生命維持装置をつけられ首だけの存在で生かされているリースは、ある惑星の創造主として祀りあげられていた。シドニアの真意は何か――? 宇宙海賊ノーマッド号の活躍を描いたスペース・ファンタジー第3弾! |
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「どこかに、次へ進むキー・ワードがあるはずだ。何としても捜し出せ」 「キー・ワードって……」 「後を追えるように残しているのだ。……素直に追って行けば良い。いずれはリースの首に辿り着くはずだ」 「なに……それ。ようするに、撒(ま)き餌に釣られて罠にはまりに行くってこと?」 呆れ顔でぼやくマージに、ファルコンは艶(あで)やかな笑みを見せた。 一瞬、マージの背筋が凍る。見た事もないような凄艶(せいえん)な笑み。 「妙な顔をするな」 絶句したマージを、ファルコンは訝しげに見下ろした。 「つまらぬ小細工をするより、確実に辿り着けるではないか。……正面から飛び込めば、それなりの活路もあろう」 「それって……」 「何だ」 ファルコンから視線を逸(そ)らし、小さく首を振ったマージは、聞こえるかどうかの小声で呟いた。 「何でもない。……覚悟はできました」 「時間がないのだ。仕方がなかろう」 宥(なだ)めるように、やわらかく微笑みかけたファルコンは、ディスプレイに視線を戻した。 「お前の得意分野だ。何とか捜し出してくれ」 何度目かの溜め息を吐き、マージはディスプレイに視線を据えた。 「そうだ。……スヴェンに手伝って貰おう」 マージは自分の言葉に頷き、メイン・コンピュータを呼び出す。 「スヴェン? 今、ひま?」 マージの呼び掛けに、ファルコンが眉を顰(ひそ)める。 『……何か用か』 「ああ、シドニアに関するデータを集めて欲しいんだ。……奴がボルケーノに残したデータを全部。どんな細かい事でもよいよ」 『奴とはシドニアの事か?』 「え……あ、そう。――そうだよシドニアのデータを……」 『了解した』 それきりスヴェンはあっさりと沈黙する。与えられた仕事を片付け始めたようだ。 ファルコンを見上げ、マージはにっこりと微笑んだ。 「彼なら絶対、見落としはないよ。全部揃(そろ)ってから検討しよう」 ファルコンが頷き、コンソールの前を離れる。 ほっと肩の力を抜いたマージは、シートの背に体重を預けた。 ファルコンと言葉を交わすのが、恐ろしく重荷だ。何か聞かれる度に酷く緊張したし、自分が一言喋る毎に常に失敗したと思う。リースの首のない身体が送られて来て以来、そんな事の繰返しなのだ。常日頃の自分なら、遠(とお)の昔にヒステリーを起こしているだろう。 自分だけではない。慣れぬ作業に従事しているアレスもそうだし、ファルコンでさえかなり精神的に参っているようだ。そんな連中の健康管理をしているブラントも、決して平穏な気分ではないだろう。一日でも早くリースの首と身体が繋(つな)がってくれないことには、ノーマッドの乗員は全員が倒れてしまうに違いない。 司令席を肩越しに振り替えると、疲れた顔のファルコンが肘掛に身体を預け、手許(てもと)のコンソールをぼんやりと眺めている。 慌てて目を逸(そ)らしたマージの視界に、主のいないリースのシートが入ってきた。 「……ほんとに、間抜けなんだから……」 |
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