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BookEnd形式
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リトルダーリン
高月まつり 著
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| 両性の淫魔・海依のもとに、人界で迷子になっている天使の子供を捜すという仕事が転がりこんできた。なんとその子供――大七――は天界王の跡継で、海依は発見したばかりの彼にプロポーズされてしまう。将来は絶対に男になると決めている海依には、嫁にいくつもりなどまったくない。だけど、夜の間だけは超美形なオトナの姿になる大七を見て、その自分好みのルックスに海依の心は揺れて!? |
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俺だってまだ学生だったのにと当時を思い出して、海依は唇を尖らせた。 だが。 だーがー。 大七は喜んでいた。 (なんだ、そんな理由か。それなら大丈夫。俺はおしめなんてしてないし、離乳食を食べるわけでもない。同じ子供の姿でも、俺の扱いは簡単だぞ、海依。たまに添い寝をしてもらうくらいだし……) 「やれ遊べだの、腹減ったからメシ作れだの、俺は兄弟であって召使じゃねーっつーのっ! ガキの世話なんか召使に任せときゃいーのに、『この子達みんな、海依に懐いてるから。だからよろしくね』なんて言うんだぜ? 母親がよっ!」 海依は大七の髪を鷲掴みにして自分に引き寄せると、今まで溜まっていた不平不満をぶつける。 大七は、「このチャンスを逃すものかぁっ!」と、海依の唇に自分のそれを押しつけた。 「……っ!」 海依はエビのようにあとずさると、顔を再び真っ赤にして唇を手の甲で乱暴に拭う。 「それ、凄く傷つく仕種なんだけど」 「う、うるせえっ! いきなりキスなんてするから驚いたんだっ!」 海依は「なんてムードのない奴なんだ。しかも子供の姿だし」と呟きながら、大七を睨んだ。 「…………判った」 大七は仏頂面で立ち上がると、スタスタと風呂場へ向かう。 風呂釜の使い方はすでにマスターしている。あとは湯を風呂桶に張って、その中に三分浸かればいいのだ。 そうしたら、{本来の大七}に変身できる。 「ま、待てよっ!」 「やだね」 大七は風呂場のドアの内側からカギをかけた。 (ここで大人の大七になられても、俺が困るっ!) 海依は床に転がりながら呻く。 子供の大七には鬱陶しいとしか思わないが、大人の大七には大変な感情が湧いてしまうのだ。 大人の彼を目にするたび、心臓がバクバクいう。ドキドキなんて可愛らしいものじゃない。 「俺、こんな酷い動悸で、このまま心臓病でポックリ逝っちゃうかも」と思ったくらいなのだ。 (このままじゃ立派な男になれねーよ。大七がずっと傍にいたら、俺……下手すっと最悪{女}になっちゃうかも) 密かに崖っぷちに立たされている海依だが、大七のことを考えるといてもたってもいられない。 今までは翼の付け根がこそばゆく感じる程度の、漠然とした思いだったが……。 昨日、海依は、それこそ完膚なきまでに、それに気づいてしまった。 (俺の強固な決意が、めちゃくちゃになっちまったーっ!) コトがシンプルすぎただけに、無防備だった海依の心にグサグサグサッと彼の気持ちが突き刺さってしまった。 その出来事とは……。 子供の姿の時もアルコールには強かったが(海依は全種類試してみた)、大人の大七は{うわばみ}だった。 昨夜も湯船に三分浸かって大人になった大七は海依とともに、風呂上がり、月見をしながらビールを飲んでいた。 大七が五百ミリリットルの缶ビールを三本空け、四本目のプルトップに指をかけた時、海依はやっと一本目を飲み終える。 海依が遅いのではない。大七のピッチが速すぎるのだ。 「よくそんな早く飲めるよな、おめー」 「人界のビールは薄い。水みたいだ」 「そんなもんか? ……あれ? 開かねー……」 海依はプルトップを何度も指で弾くと、唇を尖らせる。 大七は無言で彼の手から缶を取ると、いとも簡単に開けてみせた。 (あー……こいつの指って、長いなぁ……) そう思った途端、海依は顔を真っ赤にさせる。 「ほら。開いたぞ」 缶ビールを自分に手渡す大七の、優しい微笑み。 (うわっ! ……だめーっ! その笑顔、だめーっ!) 「もう酔ったのか?」 大七はクスクスと笑いながら、長い指で海依の頬を触ったり髪を掻き上げたりする。 (気持ちいーから触るなっ! ただでさえおめーは美形なんだっ! そんなことされたら、心も股も開いちまうだろっ!) 大変お下品なことを心の中で叫びながら、海依は大七にもたれかかってしまった。
*この続きは製品版でお楽しみください。 |
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