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XMDF形式
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メイド刑事2
早見裕司 著
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「葵、見合いをしてくれ」 いつものように朝食を運んでいった葵を、海堂のとんでもない一言が迎えた。もと大名家の花嫁候補が3人、立て続けに不審な死を遂げた事件の調査。そのための見合いと知って安堵した葵だったが、今度は見合いに必要な作法や和服の着こなしを特訓させられるハメに。もちろん待ち受けているのは意地悪な母と姉! 泊まり込んだ葵を襲う謎の影と、事件の裏にひそむ人の弱さとは!? そして葵の取った選択とは!? かりそめの披露宴で、葵の怒りが爆発する! 警察庁特命刑事若槻葵――人呼んでメイド刑事。華麗にドレスアップして再び参上! |
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超高層マンションの一室では、青柳が、部下の屈強な男たち四人に指示を飛ばしていた。電話機はもう、取り外してあった。 「家具には傷をつけるなよ。レンタルなんだからな」 男たちは、豪華な家具を運び出していた。 青柳は腕組みをして、にたり、と笑った。 「短期契約(たんきけいやく)とはいえマンションの家賃に、家具に車のレンタル。今回は元手がかかったな。だがまあ、二十億の儲(もう)けだ。充分、元は取ったさ」 そのとき、部屋の中に白い霧のようなものが流れ始めた。男たちが、そして青柳が、あわてたように見回す。 「なんだ? 火事か?」 霧の中で、凛(りん)、とした声が聴こえた。 「やはり、高飛びするつもりだったのですね。青柳さま、――いえ、恩田行三」 その名前を呼ばれて、青柳、いや恩田はぎょっとした。思わず口調が乱暴になった。 「誰だ? 姿を見せやがれ!」 霧が晴れていった。その後には――。 エレベータの前に、太い、白木の棒杭(ぼうくい)のようなものが立っていた。その前面には、墨で黒々と、文字が記されている。 『この先 冥途(めいど)』 「こ、これは、メイドの一里塚!」 男たちのひとりが叫んだ。 「何をバカなことを!」 叱りつけながらメイドの一里塚を見上げた恩田は、あっ、となった。 杭の上には、メイド服にクイックルワイパーを構えた葵が、まっすぐに立っていた。 「瞳様は、あなたへの愛はなかったかもしれません。それでも、映画の夢だけは信じていらっしゃいました」 葵は涼(すず)しい声で言った。 「ただあなたを利用しようとしていたわけではございません。あなたの見せた夢を信じていたのです。それも、愛の形だとわたくしは思います。そして、撮影所の皆さまも信じていらっしゃいます。あなたが本当に、映画を作ることを。それを裏切ろうと言うのなら、断じて許すわけには参りません」 「ああ。夢を見せるのが、俺の仕事さ」 青柳は、にやりと笑った。<BR >「二十億の夢。映画の夢。みんないい夢を見たじゃないか。だが、もうそろそろ夢から醒めてもいい頃だ。そんなうまい話なんか転がってない、って現実に戻る時間が来たんだよ」「そんな世迷(よま)い言(ごと)は、わたくしが通しません」 「偉そうに。たかがメイドの分際で」 青柳はせせら笑った。 「たしかにわたくしは、一介のメイドに過ぎません。ですが――」 葵はひらりと飛びおりた。片膝(かたひざ)をついて着地すると立ち上がり、メイド服の高い襟を留めていた大きな飾(かざ)りボタンを外し、中を開いて突き出した。 青柳がうっ、となった。 「さ、桜の代紋(だいもん)!」 ボタンの中には、警察の紋章(もんしょう)、通称『桜の代紋』が浮(う)き彫(ぼ)りにされていたのだ。 「誰が呼んだか存じませんが、わたくしの通り名は、メイド刑事!」 「メイド刑事だと?」 「はい」 葵はにっこりと笑った。 「わたくしの本当のご主人様、警察庁長官・海堂俊昭に命じられて、あなたを見張っていたのでございます」 「てめえ、サツの犬か!」 詐欺師・恩田行三はわめいた。
*この続きは製品版でお楽しみください。 |
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